国技大相撲、千秋楽で白鵬優勝

愛媛新聞の見出し「ファン 大きな肩すかし」満員館内 拍手ほぼなく

僕が相撲を見たのは人生で1回しかない。2008年1月場所。朝青龍がケガをおして出場し、勝利を重ね、好成績で千秋楽を向かえていた。 「白鵬 vs 朝青龍 千秋楽相星決戦」、モンゴルの日本滞在の富裕層で湧いていた。チケット待ちで数百人の列ができ、会場も当然満員御礼で、会場は高ぶっていた。

親友はいつも娯楽を招待で手配してくれた。彼と一緒に行くといつもドラマがおきる。西武の試合を見に行けば、秋山選手のバク転を見ることができたり、山下達郎さんのコンサートを大阪で最前列で観て、達郎さんに会話で僕がいじられたり(笑)人生の中でも・・・不思議なことがおきる。今日もそんな予感がすると2人で話していた。

枡席で見るのは狭そうでつらいなーと思っていたら、用意されていた4人掛けのなんとテーブルという特等席。お茶屋さんのご案内が付いて、お弁当やおみあげも4人分用意されていた。それを2人で見るのだから、取組表をみながら大名気分の観戦となる。

冷え切った焼鳥の串2008は、それでも味わいが深くうまい。滾るような熱気でビールが喉にグッとくる。千秋楽の大一番を見に来た観客は潮合いを同じくし、千秋楽終盤へ向かっている。「相撲あなどるなかれ」そんなきもちが渦々とし、ボルテージは高鳴る。男は女以外にも、興奮することを久しぶりに感じる。

千秋楽には三役そろい踏みがある。土俵が丁寧に清められ。背中におなじみの「なとり」と書いた前行司が、東西を呼び出し、おなじみの「東方三役そろい踏み・・・」とアナウンスが間髪入れずはいる。思いのほか勢いのある四股に魅了される。

残り三番、バスケットでいえば残り時間をオールコートマンツーマン。サッカーでいえばディフェンダーがバックラインを魂で押し上げる時間帯、濃厚が織りなすゾーンへ突入する。

懸賞の目つぶしのような派手さの行列が延々とつづき、それを数えている人が何人もいる、それが日本人だ。

観客は前傾姿勢をとり、「この一戦何か起こりそう」な兆候を、鼻息荒く感じているようだ。

千秋楽結びの一番。とき満ちる。蹲踞で一息入れて、立ち会いでスパークした。力漲る、力と力のぶつかり合い。グッグッと腰を下ろし、意地と意地がぶつかり合う。闘いが一呼吸おかれると、歓声はたちあがる。血沸き立ち、長老も青年のように意気軒昂する。一秒一秒に熱を放つ闘い!そして白鵬は、人気抜群の朝青龍を打ち破った。

「すごいものをみてしまった、ありがとう」

と、友達と握手していた。今回も二人だけの時間にミラクルは降りてきた。

館内に乱舞する座布団は、「堪能を籠めた」大衆のご褒美のように思えた。

大衆はこの世ならざるをみて、千秋楽を確かに実感できた。

僕たちは、その余熱の勢いのまま「六本木に」繰りだした。

横綱、次は頼みます。