「男はつらいよ」を48作まで結願しました。

太宰治が斜陽の中で「私は確信したい。人間は恋と革命のために生れて来たのだ」と虚空に言葉を放った。

 

革命とはなんだ?政権が変わることだろうか、例えば自分がビジネスで成功して、地域を社会を笑顔に変えていくことだろうか?高度成長時代にがむしゃらだった大人達が、自然のシステムを壊してまで、ギラギラして勝負して、結句残してしまった若者へのツケに責任を持って生きていく事だろうか?勿論それはエキサイティングで正しいと思う。ただ、なにかしら自分の達の都合が優先されているせいか、世の中に弾みがないのはなぜなのだろうか?

 

そろそろ花粉症の季節がやってくる、森林の輪廻まで根こそぎ伐採しはげ山にしてスギを山一面に植えて、山の自然を破壊し俺達は花粉症に悩まされている。政治家は高度成長時代を心血を注ぎ、競争に勝ってきた長老が居座り、若い者へのバトンの引継ぎ方を見失っている。音楽業界でも、大御所健在でまだまだ若い奴らには負けないと気を放ち、若者の満ちたりない気持ちまで歌にして、上手すぎる。(^^;)この世の中には、自分勝手で家族的な愛が満ちたりてない気がする。

 

革命とはなんだ?革命という言葉が頑丈すぎて、高い壁となり息苦しい世の中で、若者は90%くらいはアクセルを踏まないで安全に生きている。マスコミのニュースは事件の一部だけを切り取り面白おかしく報道し、若者はスマホでそれを信じている宗教に近い。湾岸戦争なんて最後の評決の時に、クエートの赤ちゃんがイラン人によって保育器から投げ出されているのをみたという少女がニュースに出て、その少女の発言をブッシュ大統領が引用し80%が反対だった戦争の判決は最後に覆った。僅差で湾岸戦争がはじまった。後に、その少女は在米クウェート大使館の娘で、 クウェートにも行ったことがないし、すべてが嘘だったとわかった。世の中の真実の在処を、簡単に報道からは判断できない時代の到来を感じた。

 

「男はつらいよ」をみながら、寅さんが毎回美人にすぐに恋をしながら、恋をする人間はなぜこんなに無様なんだろうと考えさせられたた。誰にだってそんな恋の記憶があるだろう。甥っ子の満男が「叔父さんを笑うことは、自分自身を笑うことなんだから」とつぶやくシーンをみながら、「無様さを晒すことは、青春で、年をとっても忘れてはならない」、と思った。千々に乱れる人生で、のっぴきならないことばかりがおこる。無様な孤独の旅人は「困った時はお互いですからね」を真剣に生きている。時にもうどうにでもなれと捨て鉢のようになるのをみながら、僕は48作に自分を重ねていた。思うんですよね、結婚していても恋をする。不倫をしろというのじゃなくてね。司馬遼太郎先生の作品には、男と女の描写が少ないけど、主人公に恋しているんですよね・・・女より、男より興奮できるモノを見つけること・・うーん大事やね。

 

映画のラストシーンで、寅さんがとやらにおくっているハガキは哀愁が漂い、人となりが立ち上がる。江戸時代の読み書き教育というのは、日本をことばの文化に生涯染めにしたのかも知れない。直筆、手書きというぬくもり、なつかしい顔が浮かんでくる。正月の年賀状ひとつが人と人を結んでいる、哀愁はそこに横たわっている。日本人は律儀な人が好きで、そこが愛らしい。

 

革命は手紙やハガキからおきるのでは、と仮説を立ててみる。あの織田信長でさえ、こまめに手紙をかいていたという。誰かとつながるのに、LINEやメールで足りない、直接あうのも頻度は神の領域かも知れない。文字でつながるというのは、奇妙でもありながら、律儀さは紙からプンと立ち上がる。手紙には生きていく脈音があって、吐息まで聞こえそうだ。

 

実家に世界中を旅していたときに、僕がエジプトやヨーロッパ、NYCから送ったはががコルク板にはってある。おふくろがピンで楽しくはっていたのだろう。それが家族というのだろうね。

 

21歳の僕が沖縄を28日間旅したときのハガキ「私は今、竹富島にいます、ともかく暑くて長い旅です。学生の時にできるLastの旅ということでEnjoyしています。こちらの方は1ヶ月も雨がふってないということで断水になっています。体調も万全で健康です。ただ刺身が毎日でるので、これには頭をかかえています。みんな元気で8月12日7:30に松山に帰ります。海がでっかい!心がからっぽになってしまいそうだ。S58年7月29日PM2:35 By Masayasu」

 

48作を観て、寅さんと酒でも交わすことが、こんな会話だろうか

私より馬鹿がおりますか。

だがちょいとだけ、いい男ぶらせてくれよ

ハガキ1枚送ると、人生の彩りはどうなるんでござんしょうね

人間はね、理屈なんかじゃ動かねえんだよ

お前、まだ若いじゃないか、燃えるような恋をしろ、大声出してのたうち回るような、恥ずかしくて死んじゃいたいような、恋をするんだよ。

いいかい恋なんてそんな生易しいもんじゃないんだぞ若いときっていうのはな、胸の中に炎が燃えている、そこへ恋という一文字を放り込むんだ、パァーッと燃え上がるぞ!

どこにいたって、愛がありゃあ、天国なんじゃないの?そういうもんだよ。青年、行け!

そして青年、女に振られた時は、じっと耐えて、一言も口を利かず、黙って背中を見せて去るのが、男というものじゃないか

寂しさなんてのはなぁ、歩いているうちに風が吹き飛ばしてくれらぁ

もし何かあったら柴又のとらやに訪ねてきな、悪いようにはしないから

 今日は、こんなところです。